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秘教学におけるシリウス―Sirius 2026 no.4

  • 執筆者の写真: エソテリック東京
    エソテリック東京
  • 8月9日
  • 読了時間: 9分

8.8――シリウスから見た「八」の重なり


今年の8月8日、私は秘教占星学の世界大会に参加していました。

ディスカッションのなかで、「なぜ獅子座のこの時期、秘教占星学を共に語り合うのか」という質疑がありました。


その問いを聞きながら、私は初めて「8.8」という日付が持つ意味に素直に向き合えました。いままでは「ライオンズゲート」という宇宙から特別なエネルギーが降り注ぎ願望が叶う日として語られる「8.8」に違和感があったので、素直に向き合えなかったのです。


この世界大会のおかげで「ライオンズゲート」を潜り抜け、一歩だけ「8.8」に近づいた私の記録です。


8月上旬とシリウス


まず歴史的な根拠は確かにあります。古代エジプトにおけるシリウスの存在です。


古代エジプトでは、長らく太陽の光に隠れていたシリウスが日の出直前の東の空に再び姿を現す「ヘリアカル・ライジング」が、非常に重要な季節の目印とされていました。増水の季節を無事に乗り越えるため、シリウスの再出現は、新しい生命の周期を知らせる啓示でもあったのです。


ただし、ヘリアカル・ライジングの日付は、観測する場所の緯度によって異なります。エジプト付近では8月上旬、より北へ行けばさらに遅くなります。ですから、世界中で「8月8日にシリウスの門が開く」という単純な話はやはり違和感の根源にあるのです。


今回の大会にはアジア、アフリカ、オセアニア、北欧、欧米…それこそ世界中の占星術家が集まっていました。「その見方は私の地域だけに適用されますが…」という枕詞が、自然に設定されているのです。自分の地域では…という意識は、地球規模の意識で占星学を語るならば、忘れてはならない感覚だと思いました。


それでも、シリウスと太陽の関係そのものが、古代から重要な季節の指標として意識されてきたことは確かです。8月8日という一点を世界共通の天文学的な日付として扱うことはできなくても、この時期にシリウスへ意識を向ける背景そのものには、古い歴史と叡智がある。


世界中から占星術家が集まった今回の大会で、その違いを認めた上でシリウスを語っていることに、私はむしろ納得しました。


北極星を指す二つの星

大会で取り上げられた興味深い視点が、大熊座にあるドゥーベとメラクです。この二つは「指極星/ポインター」と呼ばれ、夜空で北極星を探すときの道標になります。


Star Walk 大熊座より引用―――北斗七星のひしゃくの外側にある2つの星、メラクとドゥーベは、北極星を指し示すことから「指極星」と呼ばれます。北極星を見つけるには、この2つの星を結ぶ想像上の線を引き、その長さの約5倍先まで延ばします。
Star Walk 大熊座より引用―――北斗七星のひしゃくの外側にある2つの星、メラクとドゥーベは、北極星を指し示すことから「指極星」と呼ばれます。北極星を見つけるには、この2つの星を結ぶ想像上の線を引き、その長さの約5倍先まで延ばします。

チベット人は、この二つの指極星に象徴的な意味を与えています。特にメラクについては、弟子が「正しい方向」を感じ取り、その導きに従うことでハイラーキーへ近づいていく働きが語られています。


この二つの指極星は、この時代において主要な「方向づけの星」である北極星を指し示している。 (中略) 大熊座にある、北極星から遠いほうの指極星。これは、秘教的には、神の目的を遂行する神聖なエネルギーの偉大な貯水池つまり焦点である。 北極星に近いほうの指極星は、―――人類に関して言えば―――私たちが自我意志と呼ぶ意志の最低様相を表現している。 (中略) 獅子座は、個人の意識が発達し、用いられ、最終的に神聖な目的に捧げられる宮である。それは(小熊座にある)北極星と関係しており、それはまた北極星に近いほうの大熊座の指極星の影響力を特に受けている。 秘教的に言えば、北極星は「見失ったものに再び直面し、取り戻す」術を発達させ る「方向転換の星」と見なされる。これは、人間をいずれは原初の源へと連れ戻す。そのため、指極星とそこから発せられるエネルギーは退化の道にある人類を導き、今も変動の十字架にある人に与える影響力は絶えず活発であると推測するのは正しいと言える。 そして、北極星から遠いほうの指極星のエネルギーがその存在を感じさせ始め、正しい方向づけ、つまり導きの感覚が、道を歩む弟子に感知され、そのような導きは(もしそれに従うならば)人をハイラーキーへと接近させる。 ここに、整列を達成することの必要性が空という象徴に描写されており、それが達成されたとき、神聖なエネルギ ―が直接流入し、人間は新しい創造的な方法で神聖な供給源と結びつく。 占星家たちは(弟子たち、 特にイニシエートたちのホロスコープに関して)二つの指極星と北極星について考慮するとよいであ ろう。これらの星は、転生している人間の三つの様相―霊と魂と体 ―と神秘的に関係している。 秘教占星学 上巻p.224-226


この二つのポインター(指極星)が「ドゥーベとメラク」です。そして天空では実際にメラクと太陽が接近することはありません。


しかし、今年8月12日に起こる皆既日食では(日本時間では13日未明の新月)、その太陽と月の重なりが獅子座20度付近で起こり、黄道上に投影したメラクの位置、獅子座19度台とほぼ同じ度数になります。


ポインターと太陽・月が同じ度数帯に集まるという大変興味深い現象は、今年に限ったものです。それでも、もし8.8を「門」として考えるなら、年末に「弟子の週」を控える秘教徒にとって、「正しい方向」と「整列」という二つの言葉が、その門の意味を静かに教えてくれているように感じました。


この引用で、私の心に強く残るのは「正しい方向」と「整列」という二つの言葉です。天空でポインターが北極星を指し示すように、弟子もまた「どちらを向くのか」が問われていることを思い出すからです。


何か特別なものを受け取るための門ではなく、自分がどちらを向いているのかを確かめ、もう一度、正しい方向へ整列するための門として。




獅子座は「5」であり、「8」でもある


そして今年、もう一つ面白いことを知りました。獅子座は、通常どおり牡羊座から数えれば、12星座の5番目の星座です。

ところが秘教占星学の本で示されているように逆方向に、牡羊座から魚座、水瓶座……と数えていくと、獅子座は8番目になるのです。


このことは『秘教占星学』にも明確に書かれています。


この獅子座という宮は、黄道帯の五番目の宮であり、五は神秘的な数字である十―新たな進歩の 周期に入る前の相対的な完成、完成の数字の一部であることを示している。 (中略) 逆転した車輪において、これは八番目の宮、キリスト、つまり内在するリアリティの宮である。そのため、それは――このようにして――新しい周期を印している。(個別化の瞬間のように)自我意識が生まれるとき、新しい周期が始まる。 秘教占星学 上巻P.322


この「獅子座――8――門」という象徴の組み合わせそのものは、現代の「ライオンズゲート」という言葉が生まれる以前から、秘教占星学の中に存在していました。

もちろん、これだけで「8月8日のライオンズゲートは正しい」と証明できるわけではありません。でも、長いあいだ「なぜ8なの?」と思ってきた私には、とても興味深い発見でした。

そうか、新しい周期の始まりなんだなぁ。

そして、獅子座が第5番目の星座であることも、今年の大会では別の角度から語られていました。AIと秘教占星学の相関のプレゼンテーションで、登壇者が、一般的な占星術と秘教占星学の違いを説明する中で、第5光線の重要性に触れていたのです。

第5光線は、「具体的知識あるいは科学」の光線です。 象徴をそのまま信じるのではなく、観察する。識別する。関係を調べる。そして、その背後にどのような法則が働いているのかを探究する――そのようなエネルギーがあることから、科学者の光線とも言われます。


そのような第5光線的なマインドが加わることで、「占星術」は、より深い意味での「占星学」へ近づいていく——という話でした。


獅子座は5番目。そして逆方向から見ると第8番目。そう考えながら、私はこんな言葉を思いつきました。

5で見分け、8の門を通って新しいほうへ向かう。

象徴をそのまま信じるのではなく、まず識別する。そして、見極めたうえで、次の意識へ向かう門を通る


秘教占星学の大会が獅子座の季節――第5光線の季節――に開かれていることは、以前より意味深く受け止められました。




受け取る門から、渡す門へ

大会の登壇者が語った言葉の中で、もう一つ私に残ったものがあります。radiation――放射です。


人類の役割は、内なる光を自分の中だけに留めることではなく、それを世界へ放射することにある。善意を人類へ。そして、動物界、植物界、鉱物界へ。


人類は自然界の他の王国に対しても責任を持つ存在であり、自らの内なる光を、下位の王国へと渡していく役割がある――という話は、秘教徒であれば「そうそう、知っている」という内容かもしれません。


けれども、実際にシリウスを意識する瞑想を経験した方なら、この「放射」という言葉を身体的な実体験として理解できるかもしれません。


シリウス瞑想は、遠い宇宙へ意識を伸ばして終わるものではありませんでした。より大きな生命へ意識を開き、そこから再び地球へ戻ってくる。


シリウスへ向かい、地球へ戻る。


その往復の中で、受け取った光を自分の中に留めず、人類へ、そして自然界へと渡していく。


だから今の私には、8.8という門は「宇宙から何かを受け取るための門」というより、「受け取ったものを、再び世界へ渡していくための門」に見えるのです。




8月の日本で

この時期、日本では8月6日の広島、9日の長崎へ祈りを向けます。

そして、その後には旧盆がやってきます。過去を悼み、亡くなった人々を思い、生命を受け継いできたことを思い出す季節です。


そこへシリウス、獅子座、8と5の数字、方向づけ、整列、放射という象徴が重なりました。


だからといって、「すべてには宇宙的な意味がある」と結論づける必要はありませんが、この「8.8」の時期に自分以外の存在へ思いを馳せることで、門をくぐることができる――その可能性に、私は日本人としての可能性を感じています。



私たちは何を受け取り、何を次へ渡していくのか。


古代エジプトの人々は、シリウスの再出現を見て、次の生命の周期を知りました。天文学者は、星々の運行を観察します。数の象徴を研究する人は、「8」に門や循環を見るかもしれません。秘教占星学者は、天空の象徴を通して、私たちに方向と整列を問いかけます。


そして今年、世界中から集まった秘教占星学の学徒たちもまた、それぞれの方法で天空を見ながら、同じ地球を生きる者たちとして、人類の未来を考えていました。


私は、そこに一つの希望を感じます。


もし「8の門」があるとすれば、それは誰かだけに開く特別な入口ではなく――

古い形を少し緩め、

自分の向きを確かめ、

より大きな生命へ心を開き、

そして自分の持つ光を、

再びこの地球へ返すための門かもしれません。


シリウスへ向かい、地球へ戻る。


長いあいだ少し遠く感じていた「8.8」という言葉が、今年はようやく、私自身の中で地上に降りてきたように感じています。




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